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押井守監督「天使のたまご 4Kリマスター」カンヌでワールドプレミア

[提供]徳間書店
(C)押井守・天野喜孝・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ

押井守が原案・脚本・監督を、天野喜孝が原案・アートディレクションを担当したアニメ「天使のたまご 4Kリマスター」が、現地時間5月13日から開催される第78回カンヌ国際映画祭のクラシック部門(カンヌ・クラシックス)に選出された。同イベントでの上映が今作のワールドプレミアとなる。

「天使のたまご」は1985年12月にOVA発売/限定公開された作品。2025年に公開40周年を迎え、4Kリマスター版が全世界で上映される。4Kリマスター化にあたっては、押井監督本人による監修のもと、35mmのフィルム原版からスキャニングが行なわれたほか、音響もDolby Atmosにリミックスされる。

公開に先駆けて、5月7日にはサウンドトラック『天使のたまご 音楽編「水に棲む」』の音源を最新リマスタリングしたアナログレコード、UHQCDが徳間ジャパンコミュニケーションズにより発売されている。

そんな「天使のたまご 4Kリマスター」が選出されたカンヌ国際映画祭のクラシック部門は、復元された傑作映画や、過去の名作映画の再発見を目的として、押井監督作「イノセンス」がカンヌのコンペティション部門に選出された年でもある、2004年に設立されたもの。

これまで日本映画としては黒沢明監督「七人の侍」の4K修復版や、日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」など、映画史にとって重要な作品が上映されてきた部門でもある。

選出を受けて、押井監督は「巧く世の中に出してあげられなかった不憫な娘のような作品です。これを機会にひとりでも多くの方に見ていただければ監督としてこれに優る幸せはありません。気の遠くなるような細かな作業に耐えてくれたスタッフにあらためて感謝します」とコメント。

原案・アートディレクションを務めた天野も「この度は、『天使のたまご 4Kリマスター』のカンヌ国際映画祭クラシック部門への選出ありがとうございます。原版制作当時30歳そこそこの僕には思いもよらない快挙です。このような素晴らしい知らせを受けて、あの頃の苦労が40年の時を経て報われたような気持ちです」としている。

『天使のたまご』あらすじ

水没した都市の中で、たまごを抱き続ける少女。彼女は、それが天使のたまごであると信じていた。奇怪な戦車から降り立った、巨大な銃を抱えた少年。彼は、夢で見た“鳥”を探していた。廃墟のような街で、ふたりの間にはほのかな共感が芽生えたかに見えたが、ある晩、少年は少女のたまごを砕いてしまうーー。

作品解説

1985年12月にOVA発売/限定公開。
『うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』など、作品を発表するたびにそれまでのアニメ、映画の常識を覆してきた鬼才・押井守が、今や世界的なイラストレーターとして活躍する天野喜孝と共に幻想的な異世界を描き出した。

限りなくモノトーンに近い色彩、ごくわずかの台詞、異例の長回し、通常のアニメーションの約3分の1という少ないカット数(約400カット)…こうした禁欲的なスタイルで全篇を貫き、全ての押井作品の底に流れる「自己存在への懐疑」というテーマが映し出される。

押井守の、初めてのオリジナル作品であり、彼の作家としての出発点とも言える重要な一作である。

スタッフ

製作:徳間康快
企画:山下辰巳、尾形英夫
原案:押井守、天野喜孝(アニメージュ文庫「天使のたまご」より)
プロデューサー:三浦光紀、和田豊、小林正夫、長谷川洋
監督・脚本:押井守
アートディレクション:天野喜孝
美術監督・レイアウト監修:小林七郎
作画監督:名倉靖博
作曲:菅野由弘
音楽監督:菅野由弘
音響監督:斯波重治
撮影監督:杉村重郎
編集:森田清次

キャスト

少年:根津甚八
少女:兵藤まこ